カスハラ対応で本当に守られるべき人は誰だったのか

人間関係

この記事の詳細な体験談は、こちらの記事で書いています👇

はじめに

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が一般的になり、企業側も対策を掲げるようになりました。
しかし実際の現場では、その対応が誰を守るためのものだったのか、立ち止まって考える機会は多くありません。

カスハラは「客 対 店」という構図で語られがちですが、現場に立つ人間から見える景色は、それほど単純ではありません。
むしろその狭間で、最も弱い立場の人が黙って傷ついていることの方が多いのです。

この記事では、私自身が新人時代に経験した出来事を振り返りながら、
「カスハラ対応で本当に守られるべきだったのは誰なのか」を考察していきます。


高額客は「特別扱い」されるべき存在だったのか

私が働いていたサロンには、100万円、200万円単位の高額コースを購入する、いわゆるVIP顧客がいました。
売上への貢献度が高いことから、スタッフ間でも「特別なお客さん」という認識がありました。

しかしその一方で、その方は
・予約時間を守らない
・毎回10分〜15分、時には1時間以上遅刻する
・自分は特別だから待たせてもいいという態度を取る

という行動を繰り返していました。

高級店であるがゆえに予約管理は厳密で、時間厳守は他のお客様への配慮でもあります。
本来、高級店だからこそルールは平等であるべきなのに、「高額客だから」という理由で曖昧にされていた部分がありました。


カスハラの矛先は「一番弱い人」に向く

その日、本来そのお客さんを担当する予定だったのは、エステ歴10年の店長でした。
しかし店長は休みの日だけど、出勤してきていたので、「予約時間から10分過ぎても来なければ帰る」と事前にスタッフに伝えていました。

結果としてお客様は予約時間に来店せず、店長はご飯を食べに出かけました。
その後、1時間以上遅れて来店したお客様を、新人だった私が担当することになったのです。

当時の私は23歳。
相手は48歳前後で、年齢も体格も声の迫力もあり、明らかに萎縮してしまいました。
来店時から不機嫌な空気をまとい、「新人が担当すること」自体にも不満を抱いている様子でした。

カスハラという言葉が示す通り、
その矛先は「一番反論できない人」「一番立場が弱い人」に向かいやすい。
この構図は、今振り返っても変わらない現実だと感じます。

ナルナル3
ナルナル3

今では考えられないくらいブラックな会社で、売上がない店舗の店長は公休日でも顔を出すと言うのが割と当たり前の会社でした。


「毅然とした対応」とは誰のためのものか

よく「カスハラには毅然と対応しましょう」と言われます。
しかし現場では、その“毅然さ”が新人に丸投げされるケースも少なくありません。

「気にしなくていいよ」
「いつも通りやれば大丈夫」

その言葉自体は優しさかもしれませんが、
実際に矢面に立つ新人にとっては、精神的な負担がすべて自分にのしかかります。

本来の毅然とした対応とは、
・ルールを明確にする
・例外を作らない
・弱い立場の人を一人にしない

この3点が揃って初めて成立するものではないでしょうか。


店長(33歳)の判断は正しかったのか

後になって冷静に振り返ると、店長の対応は「感情的な拒否」ではありませんでした。

・遅刻を繰り返していたこと
・事前に何度も注意していたこと
・予約時間を過ぎても来店がなかったこと

これらを踏まえた上で、「その日は対応しない」という判断をしたのです。

さらに、私の失敗を責めることもなく、
「悪いのはルールを守らなかった側だ」と明確に線を引いてくれました。

33歳という年齢で、
48歳の高額客に対してルールを優先した判断は、決して簡単なものではなかったはずです。
今になって思えば、「よくやった判断だった」と感じています。

ナルナル3
ナルナル3

私が33歳の時に同じことができたかと言うと、正直そんな根性も肝も据わっていないかったからできなかったと思います。


年齢差が生む“見えないハラスメント”

当時の私は23歳。
相手は親世代とも言える年齢でした。

年齢差は、それだけで
・反論しづらさ
・萎縮
・「若いくせに」という無言の圧力

を生みます。
言葉にされなくても、空気として支配されることがあります。

これは明確な暴言がなくても成立する、構造的なハラスメントです。


結論:本当に守られるべきだったのは誰か

カスハラ対応において、
・店の売上
・高額客
・クレーム処理

ばかりが注目されがちです。

しかし本当に守られるべきだったのは、
現場で働く、立場の弱い人間ではなかったでしょうか。

新人、若手、非正規、女性――
声を上げにくい人ほど、負担を背負わされやすい。

カスハラ対策とは、
客を排除することではなく、
働く人が安心して立てる線を、組織として示すこと

その視点が欠けたままでは、
また別の誰かが、同じ場所で同じように傷つくことになります。

カスハラ対応を各店舗の店長や当事者のスタッフ判断に委ねること自体が、
実はすでに現場への過剰な負担になっていると思います。

本当に必要なのは、
「誰が悪いか」をその場で決めることではなく、
働く人が迷わず対応できる、会社としての対応マニュアルを作り線を示すことではないだろうか。

その線がない限り、
また別の新人が、同じ場所で同じ役割を背負わされることになると思います。

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