以前、私は「「最初はいい人だと思ったのに・・・」―心がすり減っていった職場の話」を書きました。
最初は丁寧に教えてくれて、失敗もフォローしてくれて、「面倒見の良い人だな」と思っていた存在。
それなのに、気づけば私だけに細かい指摘が増え、毎日のように注意を受けるようになりました。
今回はその出来事を、感情ではなく“心理構造”の視点から考察してみたいと思います。
なぜ、最初は優しかった人が態度を変えるのか。
なぜ、私だけに厳しくなったのか。
そこには、ある共通する心理パターンが見えてきました。
最初の“親切”は信頼を得るための行動だった可能性
支配的な傾向を持つ人の中には、最初に強い好意や親切を示すタイプがいます。
・丁寧に教える
・味方のように振る舞う
・安心感を与える
これは本心からの優しさの場合もありますが、そうでないケースもあります。
最初に距離を縮め、信頼関係を築き、「この人は自分に心を開いている」と確認してから関係性を固定する。
その後で、徐々にコントロールを強めていく。
恋愛におけるモラハラ構造ともよく似ています。

入社したてで親しい人もいない中、親切にされたり、気さくに話してくれると気が緩んでしまうんですよね…この人、凄く優しいってなってしまいがちなんですよ苦笑
安心させてからコントロールする心理構造
人は、安心している相手には警戒心を解きます。
「この人は優しい」
「この人は味方だ」
そう思っているときほど、違和感に気づきにくいのです。
そして、関係性が安定した頃に少しずつ態度が変わる。
それは突然の豹変というより、じわじわとした変化です。
気づいたときには、すでに委縮してしまっている。
これが一番やっかいな点です。
なぜ“慣れた頃”に細かい指摘が増えるのか?
私の場合、タオルの折り目が2〜3センチずれていると注意されました。
最初は「細かいな」と思いながらも受け流していました。
でも、その後も些細な指摘が毎日のように続いたのです。
支配型の人が見る「反論しない人」の特徴
支配欲の強い人は、無意識に相手を観察しています。
・反論するかどうか
・表情に出るかどうか
・従うかどうか
そして、「この人は言い返さない」と判断すると、徐々に態度が強くなることがあります。
タオルのズレは本質ではありません。
本質は、「この人は自分のコントロール下に置けるかどうか」です。
タオル2〜3センチのズレは本質ではない
本当に問題なのはズレではなく、“指摘し続けること”そのもの。
1日に10回以上注意されれば、誰でも萎縮します。
怒鳴られなくても、
暴言がなくても、
毎回何かを指摘され続けることで、人は自信を削られていきます。
それが心理的圧迫です。

上司の感覚での指摘は、こちらがいくら気を回して、やったとて、どれも気に入らないわけなので、ホント何が正解なの?って感じになりますね。周りのスタッフも異常って言っていたくらいなので。
なぜ私だけに厳しかったのか?
同僚から「あなたにだけ言いすぎじゃない?」と言われたとき、私は救われました。
やはりターゲットは固定されていたのです。
ターゲットを選ぶ心理
支配型の人は、全員に同じ態度を取るわけではありません。
・自分より立場が弱そうな人
・反論しなさそうな人
・波風を立てなさそうな人
こうした相手に対して強く出る傾向があります。
強い人には弱く、弱い人には強いタイプ
私の職場では、派手な見た目のスタッフにはご機嫌を取るような態度でした。
これは典型的なパターンです。
自分にとってメリットがある相手には柔らかく、
言い返してこなさそうな相手には強く出る。
そこに公平性はありません。
見た目・立場・反応で判断されることもある
私は地味な部類でした。
でも、地味だから何を言ってもいい理由にはなりません。
相手は無意識に「反撃されない」と判断していた可能性があります。
問題は、私の能力ではなく、相手の支配欲だったのです。
店長が止められなかった理由
退職を伝えたとき、「それくらいで辞めていたらどこへ行っても同じ」と言われました。
この言葉も、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
組織が“見えにくい攻撃”を軽視する構造
怒鳴り声や明確な暴言などがあれば、
「それは、おかしい」と周りは気づきます。
でも、
優しく、静かに、じわじわと来るタイプは
本当に厄介なんです。
例えば、
- 口調は穏やか
- 笑顔で言う
- 「あなたのためを思って」と前置きする
- でも毎回あなたにだけ言う
外から見れば“丁寧な指導”に見えます。
受け取る側はというと、
・常に監視されている感覚
・否定され続ける感覚
・自信を削られる感覚
これが積み重なる。
怒鳴られるよりも、
じわじわ来るほうが長期的にダメージが深いこともあります。
しかもやっかいなのは、
✔ 周囲に伝わりにくい
✔ 「気にしすぎ」と言われやすい
✔ 自分でも「私が弱いのかな」と思ってしまう
だから余計に苦しい。
執拗な指摘
ターゲット固定
心理的な委縮
これらは本当に“見えにくい”。
そのため、軽視されやすいのです。

真綿でジワジワと優しく首を締めてくる感じが、より精神を削られるんですよね。役職者たちは指導と思っているところも見えにくさだと思います。
なぜ役職者は「支配」を“指導”と勘違いするのか?
私が退職を伝えたとき、店長は大きく止めることはありませんでしたが、「それくらいで辞めていたらどこへ行っても同じだよ」と言いました。
きっと店長の中では、それは“指導”の範囲だったのだと思います。
ここに大きな誤解があります。
内容だけを見ていると、問題は見えない
役職者が見ているのは「注意の内容」です。
・タオルの折り目がずれている
・拭き残しがある
・作業の手順が違う
どれも、業務としては正しい指摘です。
だからこそ、「何が問題なの?」となってしまう。
でも本当の問題は、内容ではありません。
✔ 1日に何度も繰り返されること
✔ 特定の人だけがターゲットになっていること
✔ 言い方がじわじわと自信を削ること
✔ 相手が明らかに萎縮していること
こうした“空気”や“積み重ね”は、数字や事実だけでは見えにくいのです。
指導と支配は、似ているようでまったく違う
一見すると、どちらも「注意する」という行動は同じです。
けれど決定的に違うのは目的です。
指導は、相手を成長させるためのもの。
支配は、相手をコントロールするためのもの。
指導は、誰に対しても同じ基準で行われます。
支配は、反論しなさそうな人に集中します。
指導は、できるようになれば減っていきます。
支配は、できるようになっても終わりません。
私の場合、改善しても終わりませんでした。
むしろ、次の“指摘ポイント”が見つかるだけでした。
それはもう、教育ではなく管理でもなく、コントロールだったのだと思います。
「厳しい=熱心」という思い込み
組織の中では、
・細かく見る人=仕事ができる人
・厳しい人=責任感がある人
と評価されることがあります。
そのため、周囲は「ちゃんと指導している」と解釈してしまう。
でも、受けている側が萎縮し、笑顔を失い、眠れなくなっているなら、それは健全な指導とは言えません。
どれだけ言葉が丁寧でも、
どれだけ表面上が穏やかでも、
相手の心を削っているなら、それは支配です。
役職者が気づけなかったのは、
立場の違いもあるでしょう。
でも同時に、「指導」という言葉の中に隠れた支配を見抜けなかったからかもしれません。
そしてこれは、どこの職場でも起こり得ることです。
だからこそ、
「怒鳴られていないから大丈夫」
「内容は正しいから仕方ない」
と、自分を納得させなくていい。
違和感が続くなら、それはきちんと意味のあるサインなのです。
「それくらいで辞めるの?」が生まれる背景
我慢が美徳とされる文化。
石の上にも三年という考え方。
でも、心が壊れてからでは遅いのです。

少し厳しい指導とでも思っているでしょうけど、この話が20年ほど前になるけど、あの時代でも時代錯誤な考えだなって思いましたからね。
これはパワハラ?グレーゾーンの心理的圧迫
明確な暴力がなくても、人は追い詰められます。
・常に監視されている感覚
・何をしても否定される感覚
・自信を失っていく感覚
これらは立派な心理的ダメージです。
グレーゾーンでも、苦しいものは苦しい。
それを「気のせい」で片付ける必要はありません。
支配型の人から自分を守るための現実的な対策
正直に言えば、このタイプを変えるのは難しいです。
動機が“正義”ではなく“支配”である場合、注意されても止まりません。
では、どうすればいいのか。
社内相談は慎重に考える
よく「まずは社内に相談を」と言われます。
もちろん信頼できる人がいるなら別ですが、
安易に話すことはリスクもあります。
職場は利害関係の中にあります。
今日は味方でも、明日も味方とは限らないです。
上に話が伝わった瞬間、空気が変わることもあります。
支配型の人は、自分の立場を守るために
先回りして根回しをするタイプもいます。
だから、相談するなら「証拠を揃えてから」「冷静な第三者に」が基本です。
記録を取ることは、自分を守る武器になる
日時・内容・回数・状況を具体的に記録する。
これは感情ではなく“事実”を残す行為です。
自分の感覚を守るためにも、
後から相談するときの材料にもなります。

ネットで、ペン型や小型のボイスレコーダーを手軽に購入できるので、音声データの一つとして記録しておくのも良いと思います。スマートフォンの持ち込み禁止の職場も多いと思うので。
第三者に相談するという選択
社外の相談窓口や労働基準監督署、
労働相談センターなど、外部の機関に相談することはとても大切です。
社内では「大げさ」と言われたことも、
外から見れば明確な問題であることがあります。
利害関係のない第三者の視点は、
自分を客観的に守る助けになります。
それでも変わらないなら、離れる
環境を変えることは逃げではありません。
支配が続く場所に留まり続けることのほうが、
心身へのダメージは大きい。
自分を守れるのは、最終的に自分だけです。
まとめ|あなたが悪かったわけではない
最初は優しかったのに、なぜか私だけに厳しくなる上司。
それはあなたの能力不足ではなく、
相手の心理構造の問題かもしれません。
優しい人ほど我慢してしまう。
でも、我慢し続ければエスカレートすることもあります。
心が壊れる前に離れること。
それは弱さではなく、自分を守る力です。
もし今、職場で「私だけに厳しい」と感じているなら、
どうか自分を責めないでください。
あなたの違和感は、きっと間違っていません。
